2015年4月10日金曜日

心遠館からの眺望を探して

伊藤若冲の 2nd アトリエ「心遠館」からの眺望を探しに来ました。

桜は咲いているのに、
真冬装備必至の気温、そして雨。


「心遠館」は、若冲認知度の功労者のおひとり、
蒐集家のジョー・D・プライスさんのアメリカ西海岸のご自宅兼美術館名として有名ですが、


(2013年 サントリーウィスキー「響」CM のロケ地になったのは、「鳥獣花木図屏風」のある地下展示室)


「昨非集」という1758年頃の詩集に

藤景和寓 居洛西涯 訪之

藤景和=藤は「伊藤」を縮めて姓を1文字化したもので、景和は、若冲のペンネームの1つ
洛=洛水、「鴨川」のこと
西涯=「西岸」のこと

つまり、鴨川の西岸にあって
清水寺と大仏殿が同時に見れたという記録の残る、伊藤若冲 2ndアトリエ。
1788年に京都中を焼き尽くした「天明の大火」によって焼失してしまうのですが
その10年前の
1778年に発行された

「京図名所鑑」という古地図から、


左下のマーカーの地点、
五条大橋~正面通りまでの鴨川沿いあたりでは?
と机上の空論の元、
かつての心遠館からの眺望を妄想しようという、
本日の「あるき若冲」
略して
「あるちふ」
五条大橋西岸から、スタートします。


ここは、わたしの大好きなロケーション、
今は亡き京都ダークサイド「五条楽園」。
詳しいお話は、旅人 AYAさんの旅行記 が素敵なので
そちらへ飛んでいただくとしまして、
ここは
ざっくり、あるきます。


鴨川の西側を走る高瀬川。
その更に西側に。




とまぁ、
今はどこも営業されてませんが
お茶屋さんがあったり、ちょいの間があったり。
艶っぽい残り香の街。


高瀬川を渡り、鴨川西岸へ。


向こうに見えるのが、正面通り。
古地図では、あの橋から向こうが「畑」となっているので、
ここらあたりから、あの橋の手前くらいまでに、心遠館があったと見て
ほぼ間違いなさそうです。


同地点から、清水寺方向を Google Map を使い、リアルタイムで確認。
ビルがなければ、きっと見えます。
でも、大仏殿が怪しい。
もっと、先まで、あるきます。


向こうに見えるのは五条大橋。
ここまで来ると大仏殿は、よく見えるけど
清水寺はどうでしょう。
ちょっと来過ぎた気がします。

ここで喉が渇いてきたので、
五条楽園入口・五条大橋まで戻り
大好きなカフェ efish さんへ、あるきます。


窓際を陣取って、
素敵なお姉さんがラテアートにしてくれたカプチーノと
他のお客様の匂いに誘われて追加注文のBLTサンドイッチ。


ゴイサギとクロサギとカモが遊んでいて
そこにカラスがやってきて行水する、
なんていう
昔話的なシチュエーションに時間を忘れてしまい、
いつの間にか、1時間。

五条大橋を東に渡り、大仏殿まで行ってみることに。
大仏殿っていうのは、
現在の京都国立博物館と方広寺/豊国神社の場所にあった、
奈良をしのぐ国内最大級のメガ大仏のことで(焼失してます)
名残としては
先刻見えていた正面通りのある正面町(大仏殿正面ってことね)とか
京都大仏前とかの地名、そして



この台座だけが残っていて、
豊国神社の駐車場から、京都国立博物館の新館の先まで、こんな感じ。
もう台座だけでも、十分なゴージャス感が伝わってきます。


1780年の「都名所図会」に描かれた,在りし日の大佛殿。
ほらゴージャス。
(この大仏殿に関しては、しばやんさんの記事が、とても面白いのです)


で、
少しでも西方向の景観を覗けたら、
なんて
今度は台座の上にある神社の駐車上に上がって、方向を確認。
どうやら、先刻の


あの桜のあたりが、ベストな位置っぽいことがわかり、
鴨川まで、ひきかえします。

対岸から、桜のある方向を見ると



2階から、何やら光源。
その2階に置かれた窓越しの丸鏡から、お誘いを受けたようで。
1階は、手入れの行き届いた小さなお庭。

正面通りから西岸に戻り、正面から確認してみると

京町屋ステイ K's Villa という宿泊施設。

そこから見える景観は、さぞ



おおおおおおおおおおおおお

まさしく、絶好のポイント
が望めるのは、あの鏡の見えた2階。

行く
絶対、行く。

いつか。


そんな訳で、
本日の「あるちふ」。
心遠館からの妄想眺望は、efishさんでの1時間と
鏡さんにお誘いいただいた、K's Villa さんとの出会いに集約されています。

山があり
川があり
生き物の営みを視覚から、
そして
なんらかの偶然から得たものを
ゆったり、体へ吸収させる「体感」を通して
言葉や文では表現しきれない
「あぁ、きっと、そうだったんだろうな」
という、
うっすらと感性に腹落ちする感じ。
まさに、妄想家冥利に尽きる時間を過ごさせていただきました。

そして、
方位を確認したり、
歩いたエリアを記録したり、
写真を撮ったりが
スマートフォンひとつ、指先ひとつで出来てしまうので
何の気兼ねもなく、
五感へのインプットを優先することができるし
さらに、こうしてブログ・テキストに起すことで、
時が経てば
消えてしまいそうな手触りを形に残しながら
その余韻にも浸ることができるなんて、
デジタル万歳、
テクノロジー万歳。



さて、次回の「あるちふ」は、伏見方面を、あるきます。


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